老犬の介護でオムツを使い始めたものの、「朝起きたらベッドが濡れていた」「サイズは合っているはずなのに横から漏れる」と悩む飼い主さんは少なくありません。
実は犬のオムツ漏れは、オスとメスで漏れやすい場所も原因も異なります。オスは体の構造上、前側やお腹側から漏れやすく、メスは寝ている間の尿漏れが背中側に回り込みやすいという特徴があります。
この記事では、性別ごとの漏れの原因を体の構造から解説し、今日からできる具体的な対策、そして「漏れの裏に病気が隠れているケース」の見分け方までをまとめました。
- 老犬のオムツが漏れる共通の原因5つ
- オス犬特有の漏れの原因と対策(前漏れ・マナーベルトの縦漏れ)
- メス犬特有の漏れの原因と対策(寝ている間の背中漏れ)
- メーカー公式が推奨する正しい装着方法
- オムツ+パッドの二重使いなど漏れを減らす合わせ技
- 動物病院を受診すべき漏れ方のサイン
老犬のオムツが漏れる主な原因は5つ

性別に関係なく、オムツ漏れの大半は次の5つのどれか(または複数の組み合わせ)に当てはまります。
① サイズが合っていない
老犬は筋肉が落ちて若い頃よりも胴回りや足回りが細くなっていることが多く、以前のサイズ感覚のまま選ぶと隙間ができます。逆に、むくみや体重増加でキツくなっているケースもあります。パッケージの適応体重だけでなく、胴回り(ウエスト)と足の付け根回りを実測してから選ぶのが基本です。
② 当て方・留め方が正しくない
ユニ・チャームの公式サイトでは、テープはお腹側ではなく背中側で留めることが明記されています。お腹側でテープを留めるとテープ周辺には吸収体がないため、そこからおしっこが漏れてしまいます。また足回りのギャザーを内側に折り込んだまま履かせると、ギャザーが防波堤の役割を果たせず横漏れの直接原因になります。
③ 吸収量を超えている
1枚のオムツが吸収できる尿量には上限があります。老犬は腎臓病や糖尿病などで尿量そのものが増えていることがあり、以前と同じ交換頻度では追いつかなくなります。「漏れる=オムツの性能不足」ではなく「尿量が増えた」サインの可能性もあるため、後述する受診目安もあわせて確認してください。
④ 体型・姿勢の変化
寝たきりや横になっている時間が長くなると、体重のかかる場所が変わり、オムツが片側にズレやすくなります。特に横向きで寝ている時間が長い子は、下側になった足の付け根に隙間ができがちです。寝たきりの子の姿勢づくりについては犬が寝たきりの時の楽な姿勢と寝かせ方で詳しく解説しています。

⑤ 動きによるズレ
まだ自力で歩ける子の場合、立ち上がりや方向転換のたびにオムツが少しずつ回転してズレていきます。ズレた状態で排尿すると、吸収体のない場所に尿が当たって漏れます。
[吹き出し]漏れた場所をよく観察してみましょう。「どこから漏れたか」が分かれば、原因はかなり絞り込めますよ。前側ならオス特有の原因、背中側なら寝姿勢やメス特有の原因が疑われます。
オス犬のオムツが漏れる原因と対策

オスは「前漏れ」しやすい構造
オス犬は陰部が体の前方(お腹側)にあるため、吸収体の中心よりも前に排尿ポイントがくるのが漏れの最大の原因です。フルカバータイプのオムツをメス犬と同じ感覚で装着すると、吸収体の前端ギリギリに尿が当たり、お腹側やテープ付近から漏れます。
- オムツを装着する際、吸収体がお腹側に長くくるよう、気持ち前寄りに当てる
- 巻き付けタイプ(マナーベルト型)の場合は、白い吸収体の面を上にしてお腹側に当て、陰部を覆うように下から上に巻き付けるのが公式の推奨手順
- 尿量が多い子は、オムツの内側の前方に吸収パッドを1枚追加して吸収範囲を前に延長する
マナーベルトの「縦漏れ」
マナーベルト(腹巻タイプ)は装着が簡単な反面、ベルトの上端・下端から伝い漏れしやすい構造です。特に寝ている姿勢では尿が重力で背中側へ流れ、ベルトの縁を越えてしまいます。
- 立って過ごす時間が長い子→マナーベルトでOK
- 寝ている時間が長い子→フルカバータイプ(パンツ型・テープ型)に切り替える
- ベルト型を使い続ける場合は、吸収量の多いパッドを併用し、緩みなく(ただしキツすぎず)巻く
マーキング姿勢の名残
足を上げて排尿する癖が残っている子は、排尿の勢いと角度でオムツの端から漏れることがあります。この場合も吸収体を前寄り・上寄りにセットするのが有効です。
[吹き出し]オス犬の場合、「オムツの中心=体の中心」で装着すると、排尿ポイントが吸収体の前端に寄ってしまいます。「陰部が吸収体の中心にくる」を基準に当て直してみてください。
メス犬のオムツが漏れる原因と対策

メスは「寝ている間の背中漏れ」が起きやすい
メス犬は陰部が体の後方にあるため、立っている時の排尿はオムツの中心で受け止めやすい一方、横になっている時の尿が背中側やしっぽ側へ流れやすいのが特徴です。
さらに知っておきたいのが、避妊手術後のメス犬に見られる尿失禁です。動物病院の解説によると、避妊手術をした犬では性ホルモンの分泌低下により尿道括約筋の緊張性が下がることが尿失禁の原因とされ、特に寝ている時やリラックスしている時に漏らしてしまい、起立・歩行時は漏らさないのが特徴とされています。なお、避妊手術後に尿失禁が起こる正確なメカニズムはまだ十分に解明されていません。
つまりメスの「オムツ漏れ」は、排尿の失敗ではなく、寝ている間にじわじわ染み出た尿がオムツの縁を越えているケースが多いのです。
- ==背中側のギャザーが腰にしっかり密着しているか装着後に指でなぞって確認する==
- テープ型なら、背中全体に密着するようオムツを左右に広げてから、テープをお腹から背中側に回して留める
- 寝ている時間が長い子は、吸収スピードの速いパッドを併用して「染み出す前に吸わせる」
- 寝床には防水タイプのマットを敷いて二段構えにする(老犬の床ずれマット・介護ベッド比較で防水対応マットも紹介しています)

しっぽ穴からの漏れ
しっぽ穴タイプのオムツは、穴のサイズが合っていないとしっぽの付け根を伝って漏れます。しっぽを通したあと、穴の縁がしっぽの付け根に密着しているか確認しましょう。断尾している子や、しっぽが短い犬種は、しっぽ穴なしのタイプの方が漏れにくい場合もあります。
[吹き出し]「寝ている間だけ漏れる」「起きて動いている時は漏れない」という場合、オムツの当て方の問題だけでなく、加齢やホルモンによる尿漏れが背景にあるかもしれません。一度かかりつけの先生に相談してみると安心ですよ。
漏れた場所別のチェックポイント
| 漏れた場所 | 疑うべき原因 | まず試すこと |
|---|---|---|
| お腹側・前方 | オスの排尿位置と吸収体のズレ | 吸収体を前寄りに装着、パッド追加 |
| 背中側 | 寝姿勢での逆流、テープの緩み | 背中側の密着確認、テープ位置見直し |
| 足の付け根(横漏れ) | ギャザーの折り込み、サイズ大きすぎ | ギャザーを立てる、1サイズ下を試す |
| しっぽ周り | しっぽ穴の隙間 | 穴サイズ確認、穴なしタイプへ変更 |
| 全体的にびっしょり | 吸収量オーバー、交換頻度不足 | 交換回数を増やす、尿量増加なら受診 |
メーカー公式が推奨する正しい装着方法
ユニ・チャーム公式サイトの手順をもとに、漏れにくい装着のポイントを整理します。
おしりを覆うタイプ(テープ型・パンツ型)
- 足回りのギャザーをしっかり立てる
- しっぽ穴用の切込みにしっぽを通す
- 背中全体に密着するようにオムツを左右に広げる
- お腹まで覆うように当て、テープをお腹から背中側に回して留める
- 胴回りに人の指が1〜2本入る程度の締め具合を目安にする
巻き付けタイプ(マナーベルト型)
- ギャザーを立て、白い吸収体の面を上にしてお腹側に当てる
- 陰部を覆うように下から上へ体に巻き付ける
- テープは背中側で留める
なお、履かせ方はメーカーによって異なる場合があるため、パッケージの記載も確認してください。
漏れを減らす合わせ技3選

① オムツ+吸収パッドの二重使い
オムツの内側に犬用の吸収パッドを重ねる方法です。パッドだけ交換すればよいのでオムツ本体の消費が減り、コスト面でもメリットがあります。ペティオのzuttoneシリーズのおむつパッドはサイドギャザーで横漏れをガードし、ズレにくい粘着テープ付きで、パッド表面が白色のため尿の色で健康チェックもできる設計です。
② 布製おむつカバーで押さえる
紙おむつの上から布製カバーを重ねると、オムツ自体のズレを物理的に防げます。zuttoneの紙おむつカバーは面ファスナーで着脱でき、伸縮性・通気性のあるコットン素材で手洗いも可能です(防水機能はないため、あくまでズレ防止用です)。
③ 寝床側で受け止める
オムツだけで100%防ぐのは難しいため、寝床に防水マットやペットシーツを敷いて「漏れても被害を最小化する」体制を作るのが現実的です。寝たきり気味の子は床ずれ対策も同時に必要になるため、老犬の介護と寝たきり対策の記事もあわせて参考にしてください。
その漏れ、病気が隠れているかもしれません
オムツ漏れの背景に、治療が必要な病気が隠れているケースがあります。動物病院の解説によると、犬の尿失禁の原因には細菌性膀胱炎などの尿路感染、糖尿病・副腎皮質機能亢進症・甲状腺機能低下症などによる尿量の増加、認知症による膀胱機能の低下などが挙げられています。またダックスフンドやコーギーなどの胴長犬種では、椎間板ヘルニアなど神経の問題が尿失禁につながることがあるとされています。
次のような様子があれば、オムツの工夫より先に動物病院の受診を検討してください。
- 急に漏れる量・回数が増えた(水を飲む量も増えていないか確認)
- 尿の色がいつもと違う、血が混じっている、においが強い
- 排尿時に痛がる、何度もトイレの姿勢をとるのに少ししか出ない
- 後ろ足のふらつきなど、他の症状も同時に出ている
ヒルズの公式サイトでも、トイレ以外での排泄に気づいたら状況をよく観察したうえで動物病院を受診し、獣医師が身体検査や尿検査などで原因を探っていくことが推奨されています。
かぶれ・蒸れの予防も忘れずに
漏れ対策でオムツをきつく巻いたり、交換頻度を減らしたりすると、今度は皮膚トラブルのリスクが上がります。
- 排尿後はできるだけ早く交換する(お知らせサイン付きのオムツなら交換タイミングが分かりやすい)
- 交換のたびに陰部やお尻周りをぬるま湯やペット用のウェットシートで軽く拭き、しっかり乾かしてから新しいオムツを着ける
- 皮膚に赤みやただれが出た場合は使用を中止し、獣医師に相談する
漏れにくいオムツ選びのポイントとおすすめ
漏れ対策の観点でオムツを選ぶなら、次の3点をチェックしましょう。
- 立体ギャザーの有無(横漏れの防波堤になる)
- 吸収量の表示(寝ている時間が長い子は長時間タイプ)
- お知らせサインの有無(交換遅れによる吸収量オーバーを防げる)
たとえばユニ・チャームの「マナーウェア 高齢犬用 紙オムツ」は、立体モレ防止ギャザーでおしっこやゆるゆるうんちをガードし、最大12時間吸収(おしっこ約4回分)、吸収すると色が変わるお知らせサイン付きと、上記3点をすべて満たす男女共用タイプです。
サイズ展開や他メーカーとの比較、体重・胴回り別の選び方は老犬のオムツおすすめ比較|選び方を徹底解説で詳しくまとめているので、買い替えを検討している方はそちらもご覧ください。
よくある質問
人間用のオムツや尿とりパッドで代用できますか?
サイズや形状が合えば物理的には使えますが、犬用と違いしっぽ穴がなく、体型に合わせた設計でもないため、漏れやズレは起きやすくなります。代用する場合は自己責任となるため、基本は犬用の使用をおすすめします。
夜だけ漏れます。夜用の対策はありますか?
就寝前に排尿を促してから長時間タイプのオムツ+吸収パッドの二重使いにし、寝床側にも防水対策をするのが基本です。「寝ている間だけ漏れる」のが続く場合は、加齢やホルモンによる尿漏れの可能性もあるため受診をおすすめします。
オムツを嫌がって脱いでしまいます。
まず装着時間を短くして慣らすところから始めましょう。布製のおむつカバーやサスペンダーで物理的に脱げにくくする方法もあります。かゆみやかぶれが原因で嫌がっているケースもあるため、皮膚の状態も確認してください。
交換頻度の目安はどれくらいですか?
排尿のたびに交換するのが理想です。難しい場合でも、吸収量の上限を超える前・長くても数時間おきの交換を心がけ、皮膚トラブル防止のため排便後は必ずすぐに交換してください。
まとめ
- オムツ漏れの原因は「サイズ・当て方・吸収量・体型変化・ズレ」の5つが基本
- オスは前漏れしやすいため吸収体を前寄りに、メスは寝ている間の背中漏れが起きやすいため背中側の密着を重点チェック
- テープは背中側で留める、ギャザーを立てる、指1〜2本の余裕、がメーカー公式の基本
- パッドの二重使い・布カバー・寝床の防水で多層的に対策する
- 漏れ方が急に変わった時は、オムツの見直しより先に動物病院へ


