老犬用ペーストを手作りする方法|栄養を落とさない作り方と保存のコツ

噛む力が落ちてきた老犬のために、食事をペースト状にして与えたい。市販品ではなく手作りを考えたとき、最初に気になるのが栄養バランスと保存方法です。この記事では、家庭で作る場合につまずきやすい点を整理し、栄養を落とさない作り方と、作り置きを安全に扱うためのポイントをまとめました。

この記事でわかること
  • 手作りペーストで見落とされやすい「かさ」と栄養密度の問題
  • 総合栄養食の基準を意識した食材の組み立て方
  • 加熱・保存・温め直しで守りたい衛生上のポイント

※療法食を指示されている場合、自己判断で手作り食に置き換えることは避けてください。持病がある犬の食事内容は、必ずかかりつけの獣医師に相談してから変更してください。

目次

最初につまずくのは「かさ」の問題

手作り食をペーストにするとき、多くの人が水分を加えてなめらかにしようとします。ところがここに落とし穴があります。日本橋動物病院は、家庭で作る犬の食事について、全体を水から煮ると、全体の体積が増えることで犬が食べられない量になることもあると注意を促しています。

食べられる量が減っている老犬にとって、これは深刻な問題です。同じカロリーを摂るのに器の中身が2倍になれば、途中で食べるのをやめてしまいます。手作りペーストで意識したいのは、なめらかさと栄養密度の両立です。加える水分は最小限にとどめ、必要なら少量ずつ足して調整していきます。

栄養を落とさないための食材の組み立て方

主食と主菜だけでは足りない

肉と米を煮てつぶせば食事になる、と考えがちですが、それだけでは必要な栄養素が揃いません。日本橋動物病院は、総合栄養食の基準を満たす手作り食の考え方として、基本食(ごはんと肉や魚などの組み合わせ)に加えて、とうもろこし油・豚レバー・煮干し・小麦胚芽・乾燥ひじき・粉末鶏卵殻の6品目を補助食として組み合わせる方法を紹介しています。

補助食のそれぞれには役割があります。同院によれば、とうもろこし油は脂肪とリノール酸、豚レバーは鉄・銅・亜鉛・ビタミンA、煮干しはカルシウムとビタミンD、小麦胚芽は銅・マンガン・亜鉛・ビタミンE、乾燥ひじきはヨウ素の摂取を目的としています。粉末にした卵殻は、カルシウムの摂取と、カルシウムとリンの比率を調整するために使われます。

量は体重から決める

同院が示す例では、体重5kgの成犬1日分に必要なエネルギーは約374kcalで、ごはん58.5g、鶏もも肉58.5g、とうもろこし油4g、豚レバー32g、煮干し13g、小麦胚芽24.2g、乾燥ひじき0.4g、鶏卵殻1.5gという構成になっています。乾物や油の量が細かいのは、微量栄養素を満たすためです。

なお、これは標準的な活動量の成犬を想定した量です。同院は、犬の体重を週1回以上測りながら、増えれば減らし、減れば増やすという形で調整するよう勧めています。高齢で活動量が落ちている犬では、必要量が変わってくる点にも注意が必要です。

▶関連記事: 老犬(シニア犬)におすすめのドッグフードと選び方を紹介!

下ごしらえのひと手間で変わるもの

乾燥ひじきについて、同院はたっぷりの水に30分ほど浸けてから茹でこぼすことで、無機ヒ素が半減以下になり、カルシウム・鉄・食物繊維・ヨウ素・ビタミンKは残ると説明しています。ペーストに混ぜ込む前の下ごしらえとして覚えておきたい手順です。

作り方の手順

  1. 計量する:体重をもとに、基本食と補助食の量を決めます
  2. 小さく切る:肉・魚・レバーは市販のドッグフード1粒程度の大きさが目安です
  3. しっかり加熱する:中心部まで火を通します
  4. 粗熱を取ってから撹拌する:ブレンダーやミキサーでなめらかにします
  5. とろみを調整する:水分は少量ずつ加え、飲み込める最低限のゆるさに留めます
  6. 人肌程度で与える:熱すぎると口の中を傷めます

日本橋動物病院は、生肉を食べている犬は病原菌を運んだり排出したりする可能性があるとして、肉・魚・レバーは必ず加熱してから与えるよう述べています。東京都保健医療局も、生肉を与えることで病原体に感染することがあると注意を促しています。加熱の目安としては、広島県が食中毒予防のポイントとして示している中心部の温度が75度で1分間以上が参考になります。

味付けは基本的に不要です。

使ってはいけない食材

東京都保健医療局は、チョコレートや玉ネギなど、人間の食べ物でもペットが食べることによって中毒をはじめ健康被害を起こしたり、最悪の場合は死に至ることがあると注意を促しています。ペーストにすると原型が分からなくなるため、家族の食事の残りを混ぜるといった扱いは避けてください。

同局はまた、動物の種類によって必要な栄養素の割合が異なり、年齢や健康状態によって食事の種類や回数も異なるとして、獣医師などに相談して適切な食事を与えるよう呼びかけています。

毎日の手作りが負担になる場合は、市販品を土台にして食べやすさだけを調整する方法もあります。

不要なものをできるだけ省いた
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▶関連記事: 犬に消化器サポートフードは必要?選び方と確認したい成分を解説

保存のコツ

手作りペーストは水分が多く、市販のフードのような保存性はありません。環境省は、ペットフード全般について保管状況が悪いとカビや細菌が発生するとしており、手作り食であればなおさら扱いに注意が必要です。

家庭での食品の扱いについて、広島県は食中毒予防のポイントとして次の点を挙げています。

冷凍する場合、政府広報オンラインは冷凍食品は使う分だけ解凍し、冷凍や解凍を繰り返さないことを挙げています。1食分ずつ小分けにして冷凍し、使う分だけ解凍する形が扱いやすくなります。

作り置きは1回分ずつ、器も清潔に。特に食べ残しを器に入れたまま室温に置くのは避けてください。免疫力が落ちている高齢犬では、影響が出やすくなります。

まとめ

老犬用のペーストを手作りするとき、意識したいのは「なめらかにすること」よりも「少ない量で必要な栄養を満たすこと」です。水を足しすぎればかさが増え、食べきれなくなります。

栄養面では、主食と主菜だけでは足りず、油や乾物を含む補助食を組み合わせて初めて総合栄養食の基準に近づきます。加熱は必須で、保存は小分け・冷蔵または冷凍・十分な再加熱が基本です。持病がある犬や、食べる量が明らかに減っている犬では、手作りに移行する前に一度かかりつけの獣医師に相談してください。

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