ごはんを残すようになり、一日の大半を寝て過ごしている。高齢の犬でこの2つが重なると、老化なのか病気なのか判断がつきにくくなります。実際、年齢のせいに見えて治療できる病気が隠れていることもあります。この記事では、老化として説明がつく変化と、病気を疑うべき境界線を分けて整理しました。
- 「寝てばかり」がどこからが異常なのか、判断の軸になる考え方
- 老化と病気を分ける4つの境界線
- 年齢のせいと誤解されやすい病気と、受診前に記録しておきたいこと
※食欲低下と活動量の低下が同時に進んでいる場合は、早めにかかりつけの動物病院にご相談ください。
「寝てばかり」はどこからが異常なのか

前提として、犬はもともとよく眠る動物です。どうぶつ病院京都 四条堀川は、犬の睡眠時間は人間の約2倍が正常で、多くの場合は心配する必要がないと説明しています。特に8歳を過ぎた老犬が以前より長く眠るようになるのは、正常な範囲の変化とされています。
つまり、睡眠時間の「長さ」だけを見ても判断はつきません。手がかりになるのは、次の2つです。
- 変化の速さ:数か月かけて少しずつ長くなったのか、この1〜2週間で急に増えたのか
- 起きている時間の質:起きたときに普段どおり動けているか、反応が鈍くないか
同院は、睡眠時間の長さだけでなく呼吸の状態や睡眠中の様子も合わせて観察するよう勧めています。
老化として説明がつく変化
年齢とともに筋肉量や関節の柔軟性が落ちると、動く量そのものが減ります。にゅうた動物病院は、シニア期の変化として立ち上がるのに時間がかかる、段差を嫌がる、長時間の安静後に足を引きずるといった様子を挙げ、床を滑りにくくする工夫や関節ケアを勧めています。
動く量が減れば消費エネルギーも減るため、食べる量が以前より少なくなること自体は自然な流れです。体重が保てていて、起こせば反応し、食べ始めれば完食できるのであれば、当面は様子を見る余地があります。
痛みが原因で動きたがらない場合は、寝ている時間の長さだけでなく、起き上がるときの様子に変化が出ます。
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老化と病気を分ける4つの境界線

1. 変化が数日から数週間で起きている
加齢による変化は、基本的にゆるやかです。先週までは散歩に行きたがっていたのに今週はほとんど動かない、というスピードで進む場合、背景に別の要因があると考えたほうが自然です。
2. 食欲低下と同時に進んでいる
「寝てばかり」だけであれば老化の範囲でも、食欲低下が同時に起きているなら意味合いが変わります。この2つが重なるのは、体のどこかに負担がかかっているサインであることが少なくありません。
3. 起きているときの様子が変わっている
呼びかけへの反応が鈍い、ふらつく、いつもと違う場所で寝ている、呼吸が速いといった変化は、単に眠いのとは別の問題を示している可能性があります。
4. 体重と飲水量が動いている
食べる量が減っていても体重が保てているなら、必要量が減っただけかもしれません。逆に、体重が落ちてきている、水を飲む量が増えた、または減ったという場合は、老化だけでは説明がつきにくくなります。
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年齢のせいと誤解されやすい病気:甲状腺機能低下症
活動量の低下が病気によるものだった例として、代表的なのが甲状腺機能低下症です。甲状腺ホルモンが不足して全身の代謝が落ちる病気で、越谷どうぶつ病院は、相談を勧めるサインとして以前より明らかに動かなくなった・寝ている時間が長い、フード量は変えていないのに太ってきた、毛づやが悪く左右対称に毛が薄くなってきたといった様子を挙げています。同院は、高齢だから仕方ないと放置すると症状が進んでしまうこともあると注意を促しています。
結城チロロ動物病院も、症状として元気がなく寝ている時間が増えることを挙げ、症状が徐々に進行するため気づきにくいこと、高齢犬では「年齢の影響」と勘違いされやすいことを指摘しています。診断は問診と血液検査で行われ、甲状腺ホルモンの値のほか、貧血や高脂血症の有無も確認されます。
次郎丸動物病院は、この病気の症状として体重増加、食欲不振、運動の減少、疲労感や無気力、冷えやすくなることを挙げ、冷えのために暖かい場所へ行ってよく寝る行動パターンになると説明しています。
ここで挙げたのはあくまで一例で、活動量と食欲がともに落ちる病気は他にもあります。重要なのは、血液検査で判断がつくものが含まれているという点です。「年だから」で止めてしまうと、確認する機会そのものを失います。
受診前に1週間記録しておきたいこと
診察では、いつからどの程度食べていないか、どんな変化があったかを聞かれます。次の項目をメモしておくと、説明がしやすくなります。
| 記録する項目 | ポイント |
|---|---|
| 食べた量 | 与えた量に対して何割食べたか |
| 体重 | 週1回、同じ条件で測る |
| 飲水量 | 増えた・減ったの傾向だけでも可 |
| 起きている時間の様子 | ふらつき、反応、散歩に出たがるか |
| 眠っている時間帯 | 夜に寝ているか、昼夜が逆転していないか |
小塚獣医科病院は、24時間以上ほとんど食べない、水を飲む量が減っている、元気がない、徐々に食べる量が減っている、高齢犬の食欲低下といった状況を相談が必要なケースとして挙げています。加えて、ぐったりしている、呼吸が苦しそうといった様子があれば、様子を見ずに連絡してください。
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まとめ
高齢犬がよく眠るようになること自体は、正常な変化の範囲に入ります。判断の軸になるのは睡眠時間の長さではなく、変化の速さ、食欲低下との同時進行、起きているときの様子、体重と飲水量の動きです。
活動量の低下には、甲状腺機能低下症のように血液検査で確認でき、治療によって改善が期待できるものも含まれます。食べない状態と寝てばかりの状態が同時に続いているなら、老化と決めつける前に、記録を持ってかかりつけの動物病院に相談してください。

