年齢を重ねた犬が急にごはんを残すようになると、老化なのか病気なのか判断に迷います。実際には、代謝の変化のように様子を見てよいものと、早めの受診が必要なものが混在しています。この記事では、シニア期の入り口から高齢期まで、年齢に応じた食欲低下の背景と、家庭でできる食事の工夫を整理しました。
※食欲の低下は病気のサインであることもあります。他の症状を伴う場合や食べない状態が続く場合は、早めにかかりつけの動物病院にご相談ください。
- 体格別に見たシニア期の目安と、年齢とともに食欲が落ちる4つの背景
- 香り・回数・姿勢など、今日から試せる食事の工夫
- 様子を見てよい範囲と、動物病院に相談する目安
シニア期は何歳から?体格によって数年の差がある

「シニア犬」といっても、その入り口は体格によって異なります。にゅうた動物病院は、小型犬(10kg未満)は8〜9歳頃、中型犬(10〜25kg)は7〜8歳頃、大型犬(25kg以上)は6〜7歳頃からシニア期に入るとしています。大型犬は成長の速さや体を維持するための負担が大きく、老化が早く進みやすいと考えられています。
同じ8歳でも、小型犬ならシニアに入ったばかり、大型犬なら数年が経過している計算になります。食欲の変化をどう見るかも、この差を踏まえて考えると判断しやすくなります。
年齢を重ねた犬の食欲が落ちる4つの背景
1. 代謝と運動量が下がり、必要な量そのものが減る
にゅうた動物病院は、シニア犬は代謝や運動量が低下するため、若い頃と同じ食事では栄養が不足したりカロリーが過剰になったりすることがあると説明しています。体重が保てていて元気もあるなら、残すこと自体が異常とは限りません。
一方で、「食べる量が減っている」と「体重が落ちている」は別の話です。判断の軸は残した量ではなく、体重の推移に置くほうが確実です。
2. 嗅覚・味覚の衰え
池田動物病院は、年齢とともに嗅覚や味覚が衰え、食欲が落ちてしまうシニア犬も少なくないとしています。目の前にごはんがあっても、においを感じ取りにくいと食べる気持ちが起きにくくなります。フードを変えていないのに急に食いつきが落ちた場合、この背景が関わっていることがあります。
3. 歯や口のトラブル
にゅうた動物病院は、シニア期の変化として歯石や歯垢の蓄積による歯の変色、歯周病の進行による口臭の悪化を挙げ、歯のケアはごはんを食べる力や栄養の吸収に直結すると述べています。食べようとして口をつけたのに離れる、片側だけで噛む、食べこぼしが増えたといった様子があれば、口の中の痛みを疑う手がかりになります。
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4. 病気が背景にあるケース
高齢になるほど、食欲低下の裏に病気が隠れている可能性は高まります。小塚獣医科病院は、24時間以上ほとんど食べない、水を飲む量が減っている、嘔吐や下痢が続く、元気がない、徐々に食べる量が減っている、高齢犬の食欲低下といった状況を、相談が必要なケースとして挙げています。高齢であること自体が、様子を見る時間を短くする理由になります。
今日から試せる食事の工夫

温めて香りを立てる
池田動物病院は、香りや食感を工夫することで食べたい気持ちを引き出せることがあるとして、フードを電子レンジや湯せんで軽く温めて香りを立てる方法を紹介しています。熱くしすぎると口の中を傷める可能性があるため、人肌程度に冷ましてから与えます。
回数を分ける
池田動物病院は、シニア期は消化吸収の力が弱まり一度にたくさん食べると胃腸に負担がかかることがあるとして、1日の食事を3〜4回に分けて与える方法を挙げています。1回の量を減らせば、食べきる負担も小さくなります。
姿勢と食器の高さを見直す
首を大きく下げる姿勢がつらくなっている犬では、食器の高さを変えるだけで食べる時間が短くなることがあります。
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フードそのものを見直す
にゅうた動物病院は、シニア期の栄養バランスの見直しとして年齢に合わせて消化しやすく、必要な栄養素を含むシニア期用のフードへの切り替えを挙げています。粒の大きさ、水分量、香りの立ち方は製品によって差があるため、少量から試して反応を見る形が現実的です。

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食べた量と体重を記録する
工夫を試すときは、変更点をひとつずつにして記録を残すと、何が効いたのか判断できます。記録しておきたいのは、与えた量・食べた量・食べるまでにかかった時間・週単位の体重です。受診時にも、いつからどの程度食べていないかを説明する材料になります。
様子を見てよい範囲と、受診を検討する目安
1食だけ残して次の食事は普通に食べ、元気や体重に変化がないのであれば、しばらく様子を見る余地があります。一方で、丸1日近くほとんど口にしない、水の量も減っている、嘔吐や下痢を伴う、徐々に食べる量が減ってきているといった状況では、早めの相談が必要です。
シニア期は、健康診断の頻度を年2回以上に増やすことが勧められています。定期的に検査を受けていれば、食欲の変化が出たときに前回との比較ができ、判断も早くなります。
まとめ
シニア期の入り口は体格によって数年の差があり、小型犬で8〜9歳頃、大型犬では6〜7歳頃が目安とされています。年齢を重ねた犬の食欲低下には、代謝や運動量の低下という自然な変化と、嗅覚の衰え、歯や口のトラブル、病気といった複数の背景が重なっていることが少なくありません。
家庭でできるのは、温める・回数を分ける・姿勢を整えるといった食べやすさの調整と、体重の記録です。工夫を続けても食べる量が戻らない、体重が落ちてきたという場合は、老化と決めつけずにかかりつけの獣医師に相談してください。
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