老犬の呼吸がヒューヒュー鳴る・いびきのような音がする原因と受診の目安

寝ている時に「ヒューヒュー」という細い音が混じる。若い頃はしなかったのに、最近いびきのような呼吸音が大きくなった。呼吸音の変化は、空気の通り道のどこかが狭くなっているサインであることがあります。

高齢になってから現れた場合は特に、老化と片づけずに原因を確かめたい症状です。この記事では、音の種類から原因を絞り込む方法と、受診すべきタイミングを整理します。

ご注意ください 呼吸音の異常は、空気の通り道が狭くなっている状態を示していることがあり、急激に悪化する場合があります。この記事は家庭で状況を整理するための目安であり、診断に代わるものではありません。音が続く場合や呼吸が苦しそうな場合は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。

この記事でわかること
  • 呼吸音の種類(ヒューヒュー・ゼーゼー・いびき様・ガーガー)から原因を絞り込む考え方
  • 高齢犬で特に注意したい喉頭麻痺・気管虚脱など、上気道の病気の特徴
  • 録音・撮影しておくべき内容と、すぐに受診すべきサイン
目次

呼吸音の種類から原因の当たりをつける

呼吸音は、空気の通り道のどこが狭くなっているかによって性質が変わります。まずは音の印象と、どのタイミングで鳴るかを整理してください。

音の印象出やすいタイミング疑われる部位
ヒューヒュー・ゼーゼー(喘鳴)息を吸う時、興奮時、運動後喉頭・気管などの上気道
いびきのような音眠っている時、リラックス時鼻の奥から喉(軟口蓋など)
ガーガー・ガチョウのような音興奮時、首輪を引かれた時気管
ズーズー・ブーブー(口を閉じたまま吸い込む)突発的、数十秒で収まる逆くしゃみの可能性

特に重要なのが、息を吸う時に鳴るのか、吐く時に鳴るのかです。吸う時に音が大きくなる場合は、喉から上の狭窄が疑われます。診察でも必ず確認される点なので、家庭で観察しておくと役立ちます。

高齢犬で特に注意したい原因

喉頭麻痺(中〜高齢の大型犬に多い)

喉頭麻痺は、空気の通り道である喉頭が十分に開かなくなる病気です。乙訓どうぶつ病院の解説によれば、中〜高齢になってから発症する後天性喉頭麻痺があり、初期には声門が息を吸う時に十分広がらないため、運動時にゼーゼーやガーガーといった異常な喘鳴音が聞こえるとされています。

アニホック動物医療センター新横浜病院の解説では、高齢の大型犬に多い症状として、しわがれた声や声がほぼ出ない状態が挙げられています。また、散歩中や興奮時に呼吸音が大きくなる、口を開けて息を吸う様子は上気道閉塞のサインの可能性があり、要注意の状態とされています。

呼吸音の変化と同時に吠える声が変わったという場合は、この可能性を獣医師に伝えてください。声の変化は、飼い主が最も早く気づける手がかりのひとつです。

成増動物病院の解説によれば、喉頭麻痺は時として緊急対応を必要とする疾患で、重篤な場合は呼吸停止に至ることもあるとされています。

気管虚脱(小型犬に多い)

気管がつぶれてしまう病気です。アニコム損害保険の疾患解説によれば、乾いた咳が出る、「ガーガー」と苦しそうに呼吸をするといった様子が特徴とされ、進行すると呼吸困難に陥ることもあります。薬で完治させることが難しく徐々に悪化するため、早期発見と悪化させない管理が重要とされています。

咳を伴う場合の見分け方は、次の記事で詳しくまとめています。

▶関連記事: 犬の咳が止まらない・咳き込む原因|老犬に多い心臓病と気管虚脱の見分け方

のど・鼻の構造的な問題

日本動物医療センターの解説では、のどの疾患として短頭種気道症候群や軟口蓋過長症が挙げられています。パグやブルドッグなどの短頭種に多く、いびきのような音が日常的に聞こえることがあります。

もともと音があった犬でも、加齢や体重増加によって音が大きくなることがあります。「昔からいびきをかく子だから」で片づけず、以前と比べて音が大きくなっていないかを基準にしてください。

また同解説では、鼻の疾患として鼻炎が挙げられており、重症化すると鼻の内部が腫れて呼吸がしにくくなるとされています。原因には細菌感染、ウイルス感染、アレルギー、異物、腫瘍などがあります。高齢犬で片側の鼻から音が出る、鼻血が混じるといった場合は、鼻腔内の病変を確認する必要があります。

心臓の病気による呼吸音の変化

心臓の病気が進行して肺に水が溜まる肺水腫を起こすと、湿った呼吸音とともに呼吸が苦しくなります。ぬのかわ犬猫病院の解説によれば、肺水腫になると苦しそうな呼吸をしたり、急にふらついたり倒れたりと、救急の治療が必要になるとされています。

逆くしゃみと見分ける

いびきのような音や吸い込むような音は、逆くしゃみと紛らわしいことがあります。あおきじま動物病院の解説によれば、逆くしゃみは見た目がくしゃみや咳に似ているため区別が難しい場合があるとされています。同院では、逆くしゃみが続いている時に家庭でできる対処として、喉をさすったり少量の水を与えたりして飲み込む動作を促す方法が紹介されており、逆くしゃみであればこれで収まることが多いとされています。

見分けの手がかりは、口が閉じているかどうか持続時間です。逆くしゃみは口を閉じたまま鼻から連続して吸い込み、数十秒で収まることがほとんどです。一方、上気道の狭窄による喘鳴は、口を開けて呼吸していることが多く、収まるまでに時間がかかります。

すぐに動物病院へ連絡すべきサイン

日本動物医療センターの解説では、次のような状態を「呼吸が苦しい」サインとして挙げています。

  • 上を向いて呼吸している
  • 深い呼吸をしている(お腹や胸がいつもより大きく動く)
  • 伏せることができない、眠れない
  • 咳が続いている
  • 舌の色が白い、または青い

舌や歯ぐきが青白い状態はチアノーゼと呼ばれ、体に酸素が行き渡っていない可能性を示します。これらが見られた場合は、夜間であっても救急対応をしている動物病院に連絡してください。

上気道が狭くなっている状態では、興奮や暑さがきっかけで一気に悪化することがあります。音が大きくなってきた、口を開けて息を吸うようになった、という段階で受診を検討するのが安全です。

診察に役立つ記録の残し方

呼吸音は、診察室では出ないことが少なくありません。飼い主が持参する記録が、そのまま診断の手がかりになります。

  • 呼吸音の録音・動画(10〜20秒。音がしっかり入るよう、静かな環境で近くから撮る)
  • 吠える声の録音(以前の動画が残っていれば、比較材料として有用)
  • 音が出るタイミング(睡眠中か、運動後か、興奮時か)
  • 安静時・睡眠時の呼吸数(胸の上下を10秒数えて6倍)

アニホック動物医療センター新横浜病院の解説でも、呼吸音や吠える声の様子を録音しておくと診察時の判断に役立つとされています。

▶関連記事: 犬を酸素室に入れるタイミングの考え方と使用前の注意点を解説

家庭でできる負担の減らし方

上気道が狭くなっている犬では、空気の通りにくさを増やさない工夫が有効です。

  • 首まわりを圧迫しない:散歩は首輪ではなくハーネスに切り替える
  • 室温と湿度を管理する:暑さは呼吸数を増やし、狭い気道の負担を大きくする
  • 興奮させすぎない:来客時や出かける前など、興奮する場面の前後に落ち着ける環境を用意する
  • 体重を管理する:肥満は喉まわりの脂肪を増やし、気道を狭める要因になる
  • 食事の姿勢に注意する:喉頭の機能が落ちている場合、誤嚥のリスクが高まる。乙訓どうぶつ病院の解説でも、喉頭麻痺では誤嚥性肺炎のリスクが高く、フードの工夫や定期的な検査が必要とされている

自宅での酸素ケアについて

呼吸器の病気で在宅ケアを続ける場合、獣医師から自宅での酸素環境を提案されることがあります。アニコム損害保険の疾患情報によれば、気管虚脱でチアノーゼや重度の呼吸困難が見られる場合には、酸素吸入が行われることがあるとされています。

ただし、ペット用の酸素室は病気そのものを治す装置ではありません。呼吸しやすい環境を整えて負担を軽くする、補助的な手段です。使うかどうか、どのタイミングから使うかは、必ずかかりつけの獣医師の判断に従ってください。

自宅用の酸素室には購入のほかにレンタルという形もあり、会社によって月額の料金体系や解約条件、付属する機器の構成が異なります。実際の費用とセット内容は、公式サイトで最新の情報をご確認ください。

自宅で使えるペット用酸素室レンタル

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まとめ

  • 呼吸音は「息を吸う時か吐く時か」「どんな音か」で疑う部位が変わる
  • 中〜高齢の大型犬でゼーゼーという喘鳴や声のかすれがあれば、喉頭麻痺の可能性がある
  • 小型犬の乾いた咳と「ガーガー」という音は、気管虚脱で特徴的とされる
  • 昔からいびきをかく犬でも、以前より音が大きくなっていれば変化として扱う
  • 口を閉じたまま数十秒で収まる吸い込み音は、逆くしゃみの可能性がある
  • 上を向いて呼吸する、お腹を大きく使う、伏せられない、舌が白い・青いといった様子は緊急性が高い
  • 呼吸音と吠える声の録音は、診察の精度を大きく上げる

呼吸音は、家にいる飼い主にしか聞けない情報です。「気のせいかもしれない」と思った時点で10秒録音しておくだけで、次の診察で伝えられることが変わります。

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