老犬がぐるぐる回る症状が出てからの寿命は?進行段階ごとの目安を解説

旋回が始まると、「この状態からどれくらいもつのか」を考えてしまうものです。ただ、ぐるぐる回るという症状は原因によって経過がまったく異なり、それ自体から残り時間を割り出せるものではありません。この記事では、旋回が進行のどの段階に位置づけられるのか、評価の物差しとあわせて整理しました。

この記事でわかること
  • 旋回から寿命を判断できない理由と、原因ごとの経過の違い
  • 認知症の評価スケールで、旋回がどう段階分けされているか
  • 進行段階に応じて備えておきたいこと

ご注意ください 余命は原因となる病気、進行の程度、併発している状態によって大きく異なり、旋回という症状だけで判断できるものではありません。この記事は一般的な情報を整理したもので、個々の犬の見通しを示すものではありません。今後の経過については、検査を受けたうえでかかりつけの獣医師にご確認ください。

目次

旋回から寿命は割り出せない

まず前提として、旋回の原因は一つではありません。アニホック動物医療センター小平病院は、シニア犬に多い特発性前庭疾患について、強いふらつきと斜頸、眼振、嘔吐、片側への旋回が特徴で、多くは数日〜数週間で改善が期待できると説明しています。一方で脳腫瘍のように、徐々に進行する旋回行動、けいれん、意識障害、左右非対称の神経症状が現れる病気もあります。

同じ「ぐるぐる回る」でも、数週間で戻るものと、治療方針の検討が必要なものが混在しているということです。原因の特定を経ないまま見通しを考えても、判断材料になりません。

認知症の評価スケールで見る、旋回の位置づけ

認知症(認知機能不全症候群)が原因の場合は、進行の段階を評価する物差しがあります。吉田動物病院は、「DISHAA」と呼ばれる評価方法や「犬痴呆の判断基準100点法」を用いて、犬の状態をスコア制で評価すると説明しています。同院は、心不全や内分泌疾患、関節の異常でも行動の変化が現れるため、血液検査や画像検査でそれらを除外したうえで診断を確定するとしています。

100点法は、動物エムイーリサーチセンターの内野富弥氏が作成したもので、フレックス動物病院によれば判断基準を10項目に分類し、その合計点数で普通の老犬、痴呆予備犬、痴呆症の犬と分類するものです。

旋回は「歩行状態」の進行段階として整理されている

壱岐動物病院が公開している100点法の評価表では、歩行状態の項目が、正常(1点)/一定方向にふらふら歩き不正運動になる(3点)/一定方向にのみふらふら歩き旋回運動(大円運動)になる(5点)/旋回運動(小円運動)をする(7点)/自分中心の旋回運動になる(9点)という5段階で構成されています。

つまり、旋回そのものにも段階があります。

段階状態
初期ふらつきながら一定方向へ歩く
中期大きな円を描いて回る
進行期円が小さくなる
後期その場で自分を中心に回る

回る円が小さくなってきたかどうかは、家庭でも観察できる指標です。「回っている」という事実だけでなく、円の大きさの変化を記録しておくと、進行の速さを共有しやすくなります。

全体のスコアで見る

同表では、合計点数の目安として30点以下は老犬、31点以上49点以下は痴呆予備犬、50点以上は痴呆と示されています。評価項目には歩行状態のほか、食欲、生活リズム、後退行動、排泄、感覚器、姿勢、鳴き声、感情表出、習慣行動が含まれます。

配点を見ると、鳴き声や感情表出の項目に高い点数が置かれており、旋回だけが突出して重い症状というわけではないことが分かります。同院は、痴呆症という診断になっても、動物病院で処方される特別療法食やサプリメント、薬剤で症状をコントロールできることもあると案内しています。

寿命に影響するのは、旋回そのものではない

吉田動物病院は、犬の認知症を根本的に治療する方法はなく、治療の目的は病気の進行を遅らせ、症状を緩和することにあると述べています。同院はまた、昼夜逆転や寝たきりといった症状が現れること、寝たきりになった場合は皮膚の状態に注意し床ずれを起こしたらすぐ受診することを挙げ、介護が必要になることを見据えた準備を勧めています。

注意したいのは、進行に伴って生じる二次的な問題です。名古屋みなみ動物病院・どうぶつ呼吸器クリニックは、寝たきりの状態を誤嚥性肺炎が生じやすい状況のひとつとして挙げています。

経過を左右するのは旋回の有無よりも、食べられているか、飲み込めているか、床ずれや肺炎を防げているかといった点になります。逆に言えば、ここは家庭のケアで差が出る部分でもあります。

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段階ごとに備えておきたいこと

旋回が始まったばかりの時期

まずは原因の特定です。認知症以外の病気が除外されて初めて、進行を前提にした準備の話になります。あわせて、この時点でスコアを一度つけておくと、数か月後の比較対象になります。

進行を遅らせる目的で、療法食やサプリメントが選択肢に挙がる段階でもあります。何を使うかは、獣医師と相談して決めてください。

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円が小さくなってきた時期

家具の隙間や部屋の角で動けなくなることが増えます。行動範囲を安全に区切る、床材を滑りにくくするといった環境調整が中心になります。夜間の症状が出てきたら、家族の睡眠を確保する方法も並行して考える必要があります。

▶関連記事: 老犬の夜泣きに耐えられない時の乗り切り方と受診の目安

自力で歩けなくなってきた時期

体位変換、床ずれの予防、食事の姿勢と形状の調整が必要になります。飲み込みの様子に変化が出ていないかを、毎日の食事のたびに確認しておきたい時期です。

まとめ

ぐるぐる回るという症状から寿命を計算することはできません。まず原因を特定し、認知症であればスコアで進行の位置を把握するのが現実的な進め方です。

旋回には段階があり、円が小さくなるほど進行していると評価されます。ただし経過を左右するのは旋回そのものではなく、食事・寝たきり・肺炎といった二次的な問題への対応です。不安な時期ほど、記録を持ってかかりつけの獣医師と話す機会を増やしてください。

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