老猫の夜泣きが続くと、猫の体調も心配ですし、飼い主さん自身も眠れず心身ともに疲れてしまいますよね。
老猫の夜泣きには必ず理由があり、原因によって「止める方法」がまったく違います。やみくもに対応する前に、まず「何のために鳴いているのか」を見極めることが解決への近道です。
夜泣きは猫からのSOSであることが多いです。「うるさい」と叱っても解決しないどころか、不安を強めて悪化することもあります。まずは原因探しから始めましょう。
- 老猫の夜泣きの主な原因と「要求鳴き」「認知症」の見分け方
- 原因別に夜泣きを止める・減らすための具体的な方法
- 動物病院を受診すべき症状の目安と相談できる治療
最初にやること:「要求鳴き」か「そうでない」かを見分ける

老猫の夜鳴きは、大きく分けて「何かを要求して鳴いている場合」と「そうでない場合」の2種類があり、要求鳴きであれば猫が望む行動を飼い主がとれば鳴きやむことが多い一方、要求がない場合は認知症が最も疑われるとされています(出典:ふぁみまる「老猫の夜鳴きの原因と対処法」)。
見分けるポイントは次のとおりです。
- 要求鳴きの可能性が高い:ご飯・水・トイレ掃除・かまってほしい等で鳴く/対応すると鳴きやむ/飼い主の方を見て鳴く
- 認知症などの可能性がある:対応しても鳴きやまない/壁や何もない方向に向かって鳴く/叫ぶような大きな声で長時間鳴き続ける/昼夜が逆転している
「対応したら鳴きやむかどうか」が最初の分かれ道です。数日間、夜間と日中の様子をメモしておくと、受診時にも役立ちます。
老猫の夜泣きの主な原因
①認知機能の低下(猫の認知症)
高齢猫は年を取るにつれ認知機能障害を患う場合があり、16〜20歳の猫の80%以上が罹患していると推定されています(出典:ロイヤルカナン「高齢の老猫のお漏らし、トイレの失敗」)。
不眠や不安の増大、見当識障害(ここがどこか分からなくなる)などの症状が現れ、夜中に不安から大声で鳴き続けることがあります。突然きっかけなく叫ぶように鳴く、興奮した声で長時間鳴き続けるのが特徴的です。
②甲状腺機能亢進症などの病気
夜泣きの裏に病気が隠れていることもあります。代表的なのが甲状腺機能亢進症で、10歳以上の猫の10%以上がこの病気を持っているという報告もあります(出典:アニコム「猫の甲状腺機能亢進症はどんな病気?」)。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで落ち着きなく動き回り、頻繁に鳴くようになるのが特徴で、食欲があるのに痩せていく場合はこの病気のサインかもしれません。
また、多飲多尿・食欲低下などを伴う場合は慢性腎臓病の可能性もあります。腎臓病を放置すると腎不全に進行する危険があるため、早めの受診が勧められています(出典:PS保険「猫の夜鳴きの原因とは?」)。
③視力・聴力の低下による不安
加齢で目や耳が衰えると、暗く静かな夜は特に不安が強くなります。自分の居場所が分からなくなったり、飼い主の気配を感じられなかったりして、不安から鳴いて呼ぶことがあります。
④空腹・トイレ・寂しさなどの要求
シニアになると一度に食べられる量が減り、夜中に空腹になって鳴くことがあります。トイレが汚れている、粗相してお尻が汚れて気持ち悪い、単純に飼い主を呼んでいる、というケースも少なくありません。
「歳のせい」と思っていた夜泣きが、実は治療できる病気だったというケースは珍しくありません。特に食欲や体重、飲水量に変化がある場合は、対策より先に受診してください。
原因別|老猫の夜泣きを止める・減らす方法

要求鳴きの場合:要求の先回りで夜の不満をなくす
- 空腹対策:寝る前に食事を1回追加する、少量頻回に分ける、自動給餌器で夜中〜早朝にセットする
- トイレ対策:寝る直前にトイレを掃除する、トイレの数を増やす(推奨は頭数+1台)、寝床の近くに設置する
- 寂しさ対策:寝る前にスキンシップや軽い遊びの時間をとり、満足させてから就寝する
粗相でお尻が汚れて鳴いている場合は、洗ってきれいにしてあげると鳴きやむことがあると獣医師も解説しています(出典:PS保険「猫の夜鳴きの原因とは?」)。
認知症・不安が原因の場合:環境と生活リズムを整える
認知症による夜泣きは「完全に止める」より「不安を減らして頻度を下げる」発想が現実的です。
- 常夜灯をつける:視力が落ちた猫の夜間の不安を和らげます
- 寝床・トイレ・水を近くにまとめる:迷子にならない動線にする
- 家具の配置を変えない:環境の変化は混乱と不安のもとになります
- 日中に軽く活動させる:昼夜逆転をゆるやかに戻します
- 鳴いても大騒ぎしない:飼い主が慌てると不安が伝わります。落ち着いた声かけやそっと撫でる程度に
トイレの失敗が多い場合は寝床のすぐ近くなど複数箇所にトイレを置くことや、縁の低いトイレでまたぎやすくすることが有効な場合もあります(出典:ふぁみまる「うちの猫もひょっとして認知症!?」)。
病気が原因の場合:治療が最優先
甲状腺機能亢進症や腎臓病が原因の夜泣きは、家庭の工夫だけでは止まりません。原因の病気を治療・管理することが、結果的に一番の「夜泣きを止める方法」になります。シニア猫は年1〜2回の健康診断(血液検査)で、こうした病気の早期発見につながります。
どうしてもつらい時は薬の相談も
環境を整えても夜鳴きが続き、家族の日常生活に支障が出ている場合には、内服薬を処方してもらうよう獣医師に相談する方法もあります(出典:ふぁみまる「うちの猫もひょっとして認知症!?」)。
飼い主さんが睡眠不足で倒れてしまっては元も子もありません。「薬に頼るのはかわいそう」と抱え込まず、選択肢のひとつとして獣医師に相談してみてください。
やってはいけないNG対応
- 叱る・大声を出す:不安が強まり夜泣きが悪化する原因になります
- 鳴くたびにご飯やおやつを与える:「鳴けばもらえる」と学習し、要求鳴きが強化されます(寝る前の計画的な食事追加とは分けて考えましょう)
- 別の部屋に閉じ込める:不安による夜泣きの場合、逆効果になることが多いです
動物病院を受診すべき目安
次のような様子があれば、夜泣き対策の前にまず受診しましょう。
- 食欲があるのに痩せてきた、水を飲む量が増えた
- 食欲がない、嘔吐や下痢を伴う
- 昼夜逆転、徘徊、粗相の増加など夜泣き以外の変化もある
- 鳴き方が明らかに異常(叫ぶような声、長時間鳴き続ける)
- 対策をしても2週間以上改善しない
受診時は「いつから」「どんな時間帯に」「どんな声で」「対応すると鳴きやむか」をメモして伝えると、診断がスムーズになります。
まとめ:夜泣きを止める近道は「原因の見極め」
- 老猫の夜泣きはまず==「要求鳴き」か「そうでないか」==を見分ける
- 要求鳴きは先回りの対応(食事・トイレ・スキンシップ)で改善しやすい
- 認知症由来は環境調整で不安を減らし、つらい場合は薬も獣医師に相談できる
- 甲状腺機能亢進症や腎臓病など、治療すべき病気が隠れていることもある
夜泣きは猫の不安や不調のサインです。原因に合った対応で、猫にも飼い主さんにも穏やかな夜を取り戻してあげましょう。

